前回は中医学における腎と肝の機能についてご説明しました。今回は前回の記事を踏まえて、今の季節に摂るべき食材とアイデア料理をお届けします。
腎機能を高める食材を選ぶポイント
では、腎機能を高めるために具体的に何を摂るべきか?今の季節に摂るべき食材のポイントは3つです。それは、
- 黒い食べ物
- 腎臓の形に似た食物
- 鹹味(塩辛い)のある食物
以下、3つを具体的にご紹介していきます。
1. 黒い食物を食材に
腎に良いとされる食物は黒い色をしています。黒い色の食べ物と言えば…
黒豆・黒米・玄米・ひじき・海藻・わかめ・昆布・海苔・牡蠣・しじみ・キクラゲ・椎茸・黒ごま・鯖・蕎麦・豆・小豆・大豆・牛蒡・蓮根・黒酢・すっぽん・プルーン・レーズンなど
2. 腎臓の形に似た食物を選ぶ
「秋のオススメ野菜と食材」の記事でもお伝えしたように、中医学では「臓器に似た形の食べ物を食べると元気になる」と言われています。腎臓の形に似た食物は、ズバリ「豆」です。
さらに上記の通り、黒豆や小豆などの黒い色は腎機能を高めるためにはオススメの食材です。お正月のおせち料理には「黒豆の煮物」が入っていたり、年越しに「お蕎麦」を食べたり、初詣では小豆たっぷりの「おしるこ」が配られるなど、昔から冬によく食べられている食物は、やはり腎にいいものばかりです。
ちなみにおせち料理の黒豆は、黒い色が魔除けの色とされており、一年間、マメ(まじめ)に働き、マメ(健康)に暮らせるようにと、邪気を払い、無病息災を願うという意味があるようにと、元気に暮らすためには欠かせない食物だと考えられています。
「黒く(真っ黒に日に焼けるほど健康に)マメに暮らす」という語呂合わせからきているという説もあると考えられています。
3. 鹹味(塩辛い)のある食物
そして食養生を考える上で理解しておきたい「五味」。「五味」で冬に対応しているのは「鹹味(塩辛い)」食事です。昔は冷蔵庫など保冷や保温ができなかったために、保存がきくよう塩を加えるという知恵が生まれ、野菜は漬物に、大豆は味噌に、海産物は塩辛などにしていました。
実はこれも冬を乗り越え、花粉症をはじめとする春の諸症状を和らげるためにはおすすめの食材です。ただし、塩分の摂りすぎには注意。日本人の食事は欧米に比べて塩分が比較的多い食事なので、いつもの食事に梅干しを足してみるなど、少し意識してみるだけでも十分です。
また春の五味は「酸味」なので、梅干しは「肝腎」を元気にするだけでなく、花粉症の原因物質であるヒスタミン放出をおさえてくれる、抗ヒスタミン作用があるので併せてオススメです。
黒い食物を使ったアイデア料理
ブロッコリーのプルーンとレーズン入りバルサミコソース掛け
お好みの量のバルサミコ酢にプルーンとレーズンを加えてひと煮立ち。
キクラゲ・ブラックマッシュルームとオリーブのペンネ
高野豆腐のあおさダレ
あおさをみりんと醤油で煮詰めます。
皮付きジャガイモの素揚げ 黒ごま塩和え
丸ごとジャガイモのピリ辛海苔あんかけ
岩海苔をごま油とラー油、少量の出汁で混ぜます。
竹輪とお多福豆の煮込み
黒豆玄米とネギのチャーハン
黒豆と海藻の豆乳リゾット
きのことほうれん草の炒め和え
キクラゲの麻婆豆腐
ポイントは、いつものお料理に黒い食材を少し足してみること。
意外と簡単に取り入れられるので、本格的な春を迎える前に是非お試しください。